睡眠と子育て
思春期の不眠の理由は? 家庭でできる改善方法
小学校高学年から、中学生・高校生のお子さんの子育てをしているママやパパは、お子さんの不眠にお悩みではありませんか?
夜更かしなら年齢的にも仕方がないのかもしれませんが、子ども自身が眠れないと悩みを抱えている場合はママやパパも心配になりますね。
思春期は心も体も成長し、大人に向かっていく複雑な時期です。不眠になることもあるかもしれません。そんなとき、どのように対処したら良いのでしょうか。病院に行くべきときはどんなときなのでしょうか。
また、自立していく時期の子どもへ、家庭でできる対処法はどのようなことなのでしょうか。
今回は思春期の不眠にスポットをあて、お話ししましょう。
眠れない? 寝ない? 思春期の睡眠とは
思春期は友達や学校生活が中心となり、家族との時間よりも友達と過ごしたがる時期です。
平日は遅くまでスマートフォンやパソコンを見ていることが多く、夜更かししがちです。
SNSやオンラインゲームなど、思春期の子どもにとって魅力的なツールがたくさんあふれていますね。
ですが、液晶画面のバックライトにはブルーライトを発するLEDが使用されています。
生体リズムの調節、催眠作用のあるホルモンとして知られるのがメラトニンです。通常、メラトニンは夜間に多く分泌されますが、ブルーライトを含んだ明るい光を浴びると分泌が抑制される可能性が指摘されています。
そんな平日の睡眠不足を補うように、帰宅後から夕飯の時間まで眠ってしまったり、休日に昼過ぎまで眠っていたりすると、睡眠のリズムや体内時計が狂ってしまいます。
その繰り返しが積み重なり、眠れなくなる=不眠にもつながります。
思春期の子どもがなかなか眠れない・寝ない理由はほかにもあるかもしれません。次の項では、お子さんと照らし合わせて一緒に考えてみましょう。
眠れない原因を一緒に探ってみましょう
思春期の子どもが眠れない・寝ない理由はどのようなことにあるのでしょうか。スマートフォンだけではない、何かほかの理由があるかもしれません。
1.昼寝のしすぎ
休日はお昼過ぎまで眠っていたり、平日も帰宅後一旦眠ってしまう(昼寝)お子さんがいるかもしれません。
寝すぎてしまうと、夜眠れないのはもちろん、日々の生活リズムや体内時計が狂ってしまい、朝起きられずぼんやりとしたまま学校で過ごしている場合があります。
平日も休日も「早めに起きて早く眠る」という習慣やリズムをつけるよう、家族が声をかけるようにしましょう。
2.イベントがあるため緊張している
テストや検定、受験、また、学校のイベントなどが近づいてくると緊張のために眠れないというお子さんもいます。
一時的なものなので仕方がないことでしょう。いつまでも続く場合はゆっくり話しを聞いたり、何気ない会話から緊張をほぐしてあげられると良いですね。
3.友達や学校生活に悩みを抱えている
学校生活で友達や先生との関係がうまくいっていない、自分らしく振舞えていないなど、不安がある場合も不眠につながることがあります。
子どもにとって、学校が生活の場であり、全てといってもいいでしょう。
その学校生活がうまくいっていないのなら、学校へ行くことが悩ましく、眠れなくなってしまうかもしれません。
思春期の子どもは悩みを保護者に話すことが難しい年頃でもあります。
ダイレクトに聞くことをせず、日常会話の中でリラックスさせ、家庭が安心の場であると感じさせてあげましょう。
それだけでもリラックスでき、眠りにつながるかもしれません。
4.勉強面に不安がある
成績が振るわない、授業の内容がわからない、友達との学力差を感じて落ち込んでいるなど、勉強面での不振が不安要素となり、眠れないこともあるでしょう。
中学・高校になると自己学習が必須となってきます。
自己学習の習慣が付けられるよう、時間を決めたり、問題集や通信教育を検討してみるなど、お子さんとも話し合ってみましょう。
明日勉強する部分の教科書に目を通すだけなど、簡単なことから始めていけば少しずつ習慣になり、自信がついてくるはずです。
5.途中で目覚めたら、眠れない
お手洗いやのどの渇きなどで途中覚醒した場合、その後目が冴えてしまうこともあります。
そんなときにスマートフォンやパソコンをつい使用してしまうと、気づいたら朝になってしまうということも……。
眠る場所の環境を整えることも大切です。
スマートフォンは枕元に置かない、パソコンは決まった時間のみ使用する、照明を落とし眠りやすい環境の寝室を作るなどです。
また、快適な室温に保つ、寝具を清潔で穏やかな色合いにすることも大切ですね。
思春期の睡眠不足が及ぼす影響とは
夜眠れないのは本人の責任、いつまでも夜更かししているから!と放っておくと、心身に様々な影響が出てくることも考えられます。
- 朝なかなか起きられない
- 授業に集中できない
- 授業中に居眠りをして、注意を受ける
- 友達との関係がうまくいかない
- 学校に行きたくない
- 学校を休みがちになる/li>
- 部屋に閉じこもりがちになる
このようなことは起きていないでしょうか。
思春期は保護者や家族との会話がむずかしかったり、反抗期で大人の言うことを聞かなかったりと自立したい気持ちでいっぱいの時期です。
それは成長過程としてとても順調なことなのですが、睡眠についての注意や促しは、それとなくしてあげたいものですね。
怒りつけるのではなく、普段の会話を大切にしたり、好きなメニューの夕飯やおやつを出してあげたり、手紙やメールなどで一言心配やねぎらいの言葉をかけてあげることで、子どもの心の中も穏やかになったり、ふと悩みや心配事を話してくるかもしれません。
また、保護者や家族が自分が思春期だった頃も同じようなことがあったよ、と経験談を離すだけでも安心するものです。
睡眠障害や不登校の心配も
このように、早寝がむずかしければ、早く起きる習慣をつけることで早寝するようになりますし、しっかりと睡眠が取れるようになってくるでしょう。
ですが、ご紹介した環境設定や対応をしてもなかなか改善しない場合や、眠れないことに本人が悩んでいるようであれば、睡眠障害の可能性もあります。
思春期に考えられる睡眠障害としては以下のようなものがあるでしょう。
1.睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に「①呼吸が止まる②一時的に覚醒する③眠りに入り再び呼吸が止まる」を一晩中繰り返します。このため深い睡眠をとれずに日中に眠気が現れます。
2.ナルコレプシー
オレキシンと呼ばれる神経伝達物質を作る神経細胞が働かなくなることで起こる過眠症です。夜に眠れていても、日中に強い眠気が出現し、眠り込んでしまうことがあります。
3.レストレスレッグス(むずむず症候群)
夕方から夜に、下肢を中心に「むずむずする」「じっとしていると不快」といった異常な感覚が出現する病気です。このような異常感覚が不眠や過眠を引き起こします。
また、朝起きられないことをきっかけに学校を休みがちになり、そのまま不登校になることも考えられます。
お悩みのお子さんやご家族は、夜しっかり眠って朝は早く起きる、その習慣を一日も早くつけてあげましょう。心配な場合は早めにかかりつけ医に相談してみましょう。
早く起きる習慣をつけよう!
年齢と共に子どもの姿や心身の状態も変わってくるものです。
保護者やご家族は、心配な気持ちからついつい口うるさく言ってしまうこともあるでしょう。
ですが、まずは子どもが現在どのような状態なのかをよく観察してみることも大切です。
その上で、家族や自宅が安心できる場所であるということを土台に、眠る環境を整え、早起きの習慣から付けてあげてみてください。
筆者プロフィール
炭本 まみ