睡眠と子育て
「小児睡眠時無呼吸症候群」の対処法と治療法とは?見極め方もご紹介
「小児睡眠時無呼吸症候群」という病名を聞いたことがあるでしょうか。お子さんがもしもいつも眠っているときに『いびき』をかいていたら、その心配があるのです。
いびきの大きさ・小ささはさほど関係ありません。
いびきをして眠っていると、熟睡できず日中も様々な症状や成長過程において心配なことがあるのです。
いびきをするほど熟睡していると思ってしまいがちですが、そうではなく、重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
今回は大人だけではなく子どもにも起きる「睡眠時無呼吸症候群」について、どのような症状なのか、診断や治療について、日常生活で気になる子どもの姿などに焦点を置きご紹介します。
「小児睡眠時無呼吸症候群」とは?
「小児睡眠時無呼吸症候群」とは、2歳から6歳頃に多く現れる症状で、寝ている間に呼吸が数秒間程度、何度も止まってしまう病気です。
原因は、アレルギー性鼻炎花粉症、鼻閉塞(はなづまり)、肥満、寝姿、合わない枕の使用などが揚げられます。ちょうど扁桃組織が成長する時期でもあるので、肥大が大きい場合は手術で取り除くことも考慮されます。
眠っているときにいびきをする子どもは約10%程度いると言われています。おだやかで寝息と捉えられる程度なら心配はないのですが、大きな音のするいびきや寝苦しそうに何度も寝返りを打ったり咳き込んだりしているなら、「小児睡眠気無呼吸症候群」が疑われます。
子どもの睡眠時無呼吸症候群は、大人と違って深い酸欠状態にはなりませんが日常生活や学校生活で、兆候が見られる場合も少なくありません。
どのような兆候があるのでしょうか。
「小児睡眠時無呼吸症候群」の子どもの様子は?
「小児睡眠時無呼吸症候群」がある場合、日常生活や学校生活において様々な兆候があります。
大人にもある病気ですが、睡眠時無呼吸症候群は高血圧のリスクが高まります。子どもにも高血圧の症状が見られる場合もありますが、特に大きな問題は成長ホルモンへの影響です。
子どもは就寝後1時間から2時間後に成長ホルモンが分泌されています。無呼吸状態が頻繁に繰り返されることで眠りが浅くなり、成長に影響が出ることもあります。
その結果として、低身長・低体重、夜尿症、胸やけ、口の渇き、寝起きの頭痛など様々な症状が現れます。
また、睡眠をしっかりと取れないため昼間に眠気が強くなり、集中できない・落ち着きがない・常に機嫌が悪い・授業中に眠くなるなどの影響も考えられます。
例えばお子さんと寝室が別で、いびきにはなかなか気づけないものの、日中に上記のような様子があったり保育園や幼稚園、学校の先生方から指摘があった場合は、「小児睡眠時無呼吸症候群」の可能性があるかもしれません。
眠っているときの様子を何日か確認してみましょう。
もしも「小児睡眠時無呼吸症候群」の可能性がある場合は、どうしたらいいのでしょうか。また、どのような治療方法があるのでしょうか。
「小児睡眠時無呼吸症候群」の診断と治療法とは?
「小児睡眠時無呼吸症候群」の症状があるかどうかは、眠っているときにしか診断ができません。そこで、診断するために睡眠中の呼吸やいびき、心拍を観察する検査機器を使います。
また、眠っている子どものいびきや胸の動きなどを保護者に動画撮影してもらう場合もあるでしょう。このようにして子どもの様子や、いびきの頻度などで診断がつきます。
「小児睡眠時無呼吸症候群」の診断がついたらどんな治療をするの?
治療法には「保存的治療」と「外科的治療」の二つがあります。
「保存的治療」は、比較的軽い場合にほどこされる治療方法で、鼻詰まりやアレルギー性鼻炎が原因の場合は内服薬で様子を見ます。肥満が原因の場合は減量を目指します。
また、「外科的治療」とは手術のことで、保存的療法で効果が無かった場合「アデノイド切除術」「口蓋扁桃摘出術」を検討します。
手術は全身麻酔で行われますが、乳幼児でも可能な手術で「小児睡眠時無呼吸症候群」の症状が改善します。成長と共に小さくなるアデノイドですが、それを待たずに手術を行う場合もあります。
症状が気になるときは早めの受診を
「小児睡眠時無呼吸症候群」について解説をしました。
子どものいびきについて、日常的なことだからと放っておいたり、何となく気になっているものの成長に大きく影響するとは知らず放置している保護者がいるかもしれません。
ですが、成長ホルモンの分泌を疎外することで、日常生活はもちろん成長に大きな影響を及ぼすことになるいびきは、放っておくことなくまずは小児科医に診断をしてもらい、判断を仰ぎましょう。
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筆者プロフィール
炭本 まみ