睡眠と子育て
夏休みの「リズムの崩れ」は2学期の体調不良を招く・・・自律神経や起立性障害を防ぐ生活とは?
夏休みがスタートしました。ママやパパはお昼ご飯の用意、持て余す子どもたちの遊び相手、宿題や自由研究の管理など、毎日大変な日々をお過ごしのことでしょう。
お仕事をしていらっしゃるママやパパなら尚のこと、子どもの長期休みの過ごし方については悩ましいものですね。
夏休みは様々なイベントや日没が遅いこと、暑くて寝苦しい夜もあったりと、なかなか早寝早起きができないもの。
けれど、夏休み中に生活リズムが狂うことで2学期からの子どもの体調不良が増加しているというのはご存知でしょうか。
2学期は集団生活の中で一番長い学期であり、様々な行事もあります。元気で活発な集団生活を送れるようにするには、夏休みの生活リズムがとっても大切なのです。
遅寝・遅起き、長時間のゲーム、食事を抜く、エアコンに当たりすぎるなど、夏休みの生活は体内時計や体調が変わりやすく、元々の集団生活がスタートし急に規則正しい生活がスタートするとついていけ無くなる子どもも多いものです。
生活リズムが大切なことは、きっと皆さんご存知のことでしょう。では、夏休みはどのように過ごしたらよいのでしょうか。詳しく解説しましょう。
Index
夏休みだから「まぁ、いっか」になっていませんか?
夏休みは1か月。地域によって違うかもしれませんが1か月以上夏休みが続く場合もありますね。
その間、幼稚園や保育園、学校とは全く違う生活リズムになれば、体内時計も夏休みのリズムになってしまいますね。
- 夏休みだし、今日くらいはいいかな
- 来週からはちゃんとしよう
- 仕事があるから子どもの生活リズムについては管理はむずかしい
- 言っても言うことを聞かない
など、様々なご事情があるかもしれません。
せっかくの夏休みだし、長いから後半取り戻せばいいかな?学校生活・園生活を頑張ったのだから夏休みくらい好きに過ごさせてもいいよね?と思われるのは無理もありません。
ですが、1か月近くこれまでと違う生活リズムで過ごすことは、夏休み明けから様々な体調の変調・不調をきたす原因にもなるのです。
全ての子どもがそうなるとは限りませんが、それでも元々の生活リズムに戻るために体には大きな負担やストレスがかかります。
生活や眠りのリズムが崩れることで、どのような体調不良の原因になるのでしょうか。
眠りのリズム崩れが招く「自律神経の乱れ」と「起立性障害」
生活のリズムが大きく変わることは、自律神経に多大な負担をかけます。
自律神経とは、生きるためになくてはならないもので、心臓が血液を送り出したり、胃や腸が食べ物を消化したり、汗をかいて体温調整をしたりする役割を担っている大切なものです。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、鼓動を早くさせるのは交感神経、落ち着かせるのは副交感神経です。
また、消化を促進するのは副交感神経で、その働きを抑えるのは交感神経です。自律神経は24時間休みなく働き続け、わたしたちの身の周りの体調や今ある環境にあわせて体を整えてくれています。
その自律神経は、寝不足や過眠による生活リズムや体内時計の崩れによって、バランスを失います。
例えば、暑いときには体温が上がりっぱなしになり熱中症になりやすくなります。逆に、寒い場所にいたらすぐに風邪をひきやすくなること、などです。
さらに具体的には、
- めまい・立ちくらみがする
- 立っていると気分が悪くなったり、倒れたりする
- 少し動いたり階段を上り下りするだけで動悸や息切れがする
- 朝起きられない。午前中は眠くて調子が悪い。
- 体が気怠い
- 食欲がない
- トイレが近い気がする
- 頭痛や腹痛が頻繁にある
という症状のあるひともいます。これは「起立性調節障害」と呼ばれます。この症状に悩む子どもは、日本小児心身医学会の調べによると、小学生で5%、中学生では10%以上と報告されています。
夏休み明けは特に自律神経が乱れやすい
夏休み明けは生活リズムが急にこれまでの集団生活の時間帯に戻らなくてはなりません。
自律神経の働きが乱れる子どもが最も多いと言われる時期になります。
「朝、なかなか起き上がれない」
「食欲がない」
「授業中もぼーっとしてしまう」
「夜、なかなか寝つけない」
など、一見対したことのない体調不良のような気がしますが、自律神経の乱れが原因です。
本来、自律神経は回復をしていくものなのですが、長く生活や睡眠のリズムが変わってしまっていた場合に、元に戻そうとするときは、このような症状が表出します。
学校に行きたくない、学校が辛い、先生の指導が厳しい、友達とうまくいかない・・・など、様々なネガティブなことへの原因にもなってしまいます。
それでは、自律神経を正常なままに保つにはどのような生活を過ごせばよいのでしょうか。
夏休みも早寝・早起きで自律神経を健康に保とう
毎日、元気に登校するために不可欠な自律神経は、普段の生活の中でどのように整えればいいのでしょうか。それは、早寝・早起きを徹底することと、朝ごはんをしっかり食べること、です。
当たり前と思うかもしれませんが、大人なら、たまに朝ごはんを抜いても、夜ふかししても、なんとなく1日の中で調節できますが、子どもの心身はまだ未発達なためそうはいかないのです。
必ず自律神経に影響が出て、不調のサインとしてあらわれます。先生に叱られたり、友達と気が合わなくなったり、給食やお弁当を食べられず午後からも元気が出ないということへつながります。
また、平日に頑張っているからといって、週末に寝だめをすることはおすすめできません。
週末の寝だめは平日の睡眠の質を下げることも厚生労働省の調査で発表されています。
一体なぜ生活や眠りのリズムが崩れると、自律神経が崩れるのでしょうか。
それは、睡眠リズムを変えるとズレを体が時差だと誤解するからです。体内時計を元に戻すには数日かかるといわれています。
早寝早起き朝ごはんで平日のリズムを整えても、休みのたびにリズムが崩れてしまうので、自律神経の働きも悪くなってしまうのです。
睡眠のリズムを一定に保つことが子どもにとって最大の健康と元気を保つ方法なのです。
夏休みの生活を「見える化」することもリズムを崩さないコツ
睡眠の時間は、ママやパパがお仕事をしている際でも、何とか維持・管理ができるのではないでしょうか。
そのほかの生活面での時間管理についても、生活を「見える化」し計画性を持つことが大切です。
園や学校から一日の生活、などと円グラフや計画表を作成するよう言われていることがあるかもしれませんね。
- 習い事・ママやパパのお休みの日・お出かけのある日・何もない日と、その日によって違う時間帯があること
- 宿題・自由研究・家庭学習・食事・おやつ・お風呂・睡眠など、毎日同じ生活時間に行いたいこと
この2点ほどを抑え、生活時間を決めておきましょう。
難しい場合は、午前中に宿題や自由研究、食事・習い事・お風呂・睡眠・起床時間だけでもおおまかに決め、子どもも保護者も見えるようにどこかに張っておきたいですね。
ついついダラダラと涼しいお部屋でゲームをして過ごして終わってしまう日々や、遅くまで起きて遅くまで起きずに眠っている生活を、少しだけ意識を持って過ごしてみることが、2学期の子どもの健康につながります。
睡眠と生活リズムは子どもの体の土台!自律神経を整えよう
夏休みの過ごし方によって、2学期の子どもの心身の健康状態が変わることをお話しました。生活や睡眠時間の崩れは、ただ朝起きられないという問題だけではなく、自律神経の乱れや起立性調節障害、学校・園嫌い、体調不良へと発展することがあります。
夏休み中の数日、時には良いとしても、毎日遅くまで起きていたり寝ていたりするのは、子どもの健康を害してしまいます。
ママやパパも夏休みなのだからいいのでは?と思うかもしれませんが、例えば夏休みの中盤からでも睡眠リズムを見直すなど、トライしてみてはいかがでしょうか。
筆者プロフィール
炭本 まみ