睡眠と子育て
中高生の自律神経を整えよう!過眠症・起立性調節障害とは?
中学生、高校生の思春期の頃は体内のホルモンのバランスが崩れやすく、様々な体調の変化と共に体調不良になることもあります。
睡眠に関しては、不眠症や過眠症、朝なかなか起きられない起立性調節障害などがあげられます。
お子さんが朝なかなか起きられなかったり、授業中に頻繁ない眠りがあるようなら、夜更かしだけの寝不足なのかどうか見極める必要がありますね。
今回は思春期にも起きる過眠症と起立性調節障害について的をしぼり、思春期の眠りの悩みや病気について一緒に考えてみましょう。
Index
中高生は夜更かししがち。睡眠時間をチェックしてみましょう
朝なかなか起きられない、日中も眠気があってぼんやりしていたり、授業中に眠ってしまう場合は、まず生活リズムをチェックしてみましょう。
保護者は起きる時間はわかっていても、眠りについた時間は把握していないものです。
もう中学生・高校生になれば、眠る時間の管理も任せているご家庭がほとんどでしょう。
自室に行ってしまうと、布団に入ったとしてもゲームやスマートフォンを触っていて、なかなか眠らないこともありますね。
スマートフォンを持っているのであれば、睡眠アプリなどを入れてみると、何時に眠ったのか、何時間睡眠しているのかがわかることもあります。
お子さんも何時に眠りについたのかがはっきりわからない場合は、そういった方法も使ってみましょう。
実は毎日のように寝不足だったということもあります。
また、部活動やアルバイト、遅くまでの勉強など、取り組んでいる活動に少し無理がある場合もあります。
お子さんの体力や睡眠時間、生活時間を親子で話し合い、睡眠不足や疲れが続いていないか見直してみましょう。
寝不足ではないのに眠い・起きられない…睡眠障害かも?
もしも寝不足や疲れが特にないにも関わらず、朝起きられなかったり、日中も眠気が襲ってくる日々が続いているのなら、お医者さんに相談してみましょう。
思春期に起こりやすい睡眠障害として、二つの症状をピックアップしてご紹介します。
過眠症の症状
過眠症とは、「ナルコレプシー」や「特発性過眠症」という症状の総称です。
通常健康な人でも日中に眠気が襲うことがありますが、眠ってはいけないという意識が働き眠らないようにできます。ですが、過眠症の場合は授業中など眠ってはならない場所や時間に眠気が襲ってきたときに、我慢できず眠ってしまう症状があります。
中高生で発症することが多く、ひどくなると一人で歩けないほどの眠気が襲います。
授業中に眠ってしまうことが多いので、成績が下がったり先生からの評価が悪くなったりします。周囲の理解を得ないことでクラスメートにも馬鹿にされるなどして、自分に自信を失ってしまうことでしょう。
原因としては、神経細胞の変性・脱落にあると考えられていますが根本的な原因はわかっていません。
治療方法は、眠気をコントロールする薬を服用するほか生活リズムを整え、眠気をなるべく感じず、苦しむことなく生活できるようにしていきます。できるだけ早い段階で異変に気付くことが、挫折せず学生生活を送り、社会人へと向かえます。
悩んだとき、ちょっとおかしいと思ったときは迷わず病院へかかることをおすすめします
起立性調節障害の症状
起立性調節障害とは、自律神経の働きが悪くなり、朝起きるときや立ち上がるときに脳や体への血液の流れが悪くなる病気です。朝なかなか起きられなくなったり、頭痛がしたり、立ちくらみがしたり、体が怠く動きにくかったり、食欲が減退するなどの症状があります。おおよそ症状は午前中に起きることが多く、午後になると回復します。
原因としては、成長期のホルモンバランスの崩れや、自律神経のバランスが崩れることがあげられます。
体を活動的にする交感神経と体をリラックスさせる副交感神経のバランスが崩れると、様々な症状が起こります。ほかにも体質など遺伝的な要素、学校や友達、勉強などの精神的なストレスなども要因となります。急激な肉体の成長によって心臓と脳の距離が開くのに対して、自律神経の発達が追いつかないため脳への血流が維持できなくなる疾患であり、怠け癖ではないと理解しましょう。
治療方法は、運動、水分をしっかりとること、睡眠リズムを整えること、この3つを継続することが大切で、血圧を上げる薬などを服用することもありますが、あくまで補助的な役割に過ぎません。ただ、病院へかからず放置しておくと、一日中布団から起き上がれず、頭痛や立ちくらみなどの症状が悪化することもあります。
朝なかなか起きられない、学校を休みがちになるなどの場合は、病院へかかりましょう。
過眠症と起立性調節障害が併発することも
過眠症と起立性調節障害は、併発することが多いと言われています。特に20歳未満では併発率は70%とも言われています。
起床時間に交感神経の活性が追い付かず、朝起きることができない、また、夜は副交感神経の活性が遅れなかなか眠たくならない状態になります。
そのため、スマホ操作をしたりテレビをみて過ごすことでより睡眠が後退し、睡眠リズムの乱れ、昼夜逆転傾向になってしまいます。睡眠の質が低下してしまい、結果的に過眠症になってしまいます。
睡眠障害により体を休養させることができずさらに自律神経の調節に乱れが生じ、結果的に起立性調節障害が悪化する悪循環に陥ってしまいます。起立性調節障害を適切に治療、コントロールし、睡眠の見直しを行うことでこの悪循環を打ち切ることが重要です。
家庭でできる子どもへのフォローとは?
病院で診察・治療を行い、家庭でフォローをしていけば、年齢と共に症状が良くなっていくことがほとんどであると言われています。
家庭ではどのようなフォローが必要なのでしょうか。
過眠症(ナルコレプシー・特発性過眠症)
根本治療はありませんが、病院には必ずかかりましょう。病気の程度によって、投薬が必要な場合もあります。
家庭では、夜に十分な睡眠をとるように心掛け、毎日同じ時間に30分未満の短い仮眠をとるようにします。 軽度の症状ならこれらの対策で十分なことも多いでしょう。
起立性調節障害
基本的には薬物を使用せず、生活の中で根治を目指す方法がほとんどです。
- 飲水療法:水分不足は症状を強めます。一日1.5リットル〜2リットル飲みましょう。
- 食事療法:1日3食決まった時間にバランスよく食べます。塩分を多めに摂取しましょう。
- 光療法:起床時に、2,500ルクス以上の明るい光を浴びることで体内時計のリセットを促していきます。起立性調節障害を改善していく上でこの明るい光は必須となります。
起床時に光を浴びる事で目覚めの脳内物質セロトニンが分泌されます。このセロトニンは夕方以降薄暗い環境で過ごすと、夜には睡眠のホルモンのメラトニンに変わり、睡眠の質が高まります。 - 運動療法:自律神経を働かせて活発にさせるため、軽めの運動をしましょう。自宅でできるもので構いません。(ウォーキングやエア縄跳びなど)
眠りを通して健康な学生生活を!
中高生の自律神経は成長ホルモンのバランスと共に崩れやすい状態にあります。
過眠症や起立性調節障害などについてお話しましたが、そのほかにも気になる症状がある場合は、放っておかず早めに病院へかかるようにしましょう。
早めに病院へかかることで、社会人になるまでに改善できることもありますね。
中高生になっても、お子さんの生活リズムを保護者が見守り、時にはアドバイスや促しをしながら、眠りを通して健康な体を作っていきましょう。
筆者プロフィール
炭本 まみ