眠りと寝具の4コマまんが
睡眠の役割とは? 眠るメリットと眠らないデメリット
家事や仕事が多く忙しいから、またはゲームや動画、SNSなど見たいものがたくさんあって、『睡眠時間がもったいない!』と感じていませんか?
2023年12月に厚生労働省が公表した「睡眠づくりのための睡眠ガイド2023」の中で、『睡眠による休養を十分にとれていない人の割合』が、『平成21年の調査で18.4%』のところ、『平成30年の調査では21.7%』となり、悪化していることが話題になっています。
そこで今回は『睡眠』が大切な理由、眠らないデメリット、眠ることで得られるメリットなどを4コマ漫画も交えてご紹介いたします。
<登場キャラクター>
名前:じぶんまくらちゃん
オーダメイド枕・じぶんまくらが、ある日突然動きだした。
足の間に見える『タグ』がチャームポイント。
名前:きのさん
寝具店で働いていた睡眠大好きwebライター。いつも眠そうな顔と、アイマスクがポイント。
(※どちらも非公認キャラ)
人間は眠らないとどうなる?
色々なことが出来ない状態になっていく
人間が生きるためには脳が大きな役割を担っており、体重の約2%ほどの重さの脳が、身体全体で消費するエネルギーの約20%を占めると言われるほど高性能に働いています。
エネルギーを消費して働く間に、活性酸素や脳の老廃物(廃棄物)などが溜まり、疲れて脳の働きが鈍くなっていきます。
脳は全身の情報を集中的に処理・制御しているため、機能が低下するとあらゆることがスムーズにできなくなってしまいます。
すると知覚・運動能力や注意力、判断力、分析力や記憶力が低下。正確に計算ができなくなるなど、仕事や家事の効率や学校の成績が下がって、結果につながらないことも。
脳は起きてから約14~16時間くらい(※個人差があります)で、『酒気帯び運転レベル』まで機能低下してしまうと言われています。
心身に不調を感じやすくなる
不機嫌になったり攻撃性が高まるなど、人間関係でコミュニケーションに支障が出ることも。
また、被害妄想や熱意が低下してうつ状態になるなど、情動不安定になりやすいとも言われています。
肉体的な自覚症状としては、頭痛や疲労感、倦怠感、食欲不振、胃腸の不調など様々。
睡眠不足が慢性化して長引いてしまうと、肥満になりやすく生活習慣病のリスクが高まったり、免疫力が低下して風邪を引きやすくなるなど、病気が発症しやすくなり健康にも影響が及びます。
しっかり睡眠時間を確保するメリットは?
睡眠の主な目的は脳の休息・メンテナンス
厚生労働省「睡眠づくりのための睡眠ガイド2023」によると、『睡眠は健康増進・維持に不可欠な休養活動』で、下記3点が睡眠の機能として健康に関係があるとされています。
1:脳や新陳代謝、免疫、認知機能などを増進・維持する
2:起きている間に受けた心身の疲労を回復する
3:成長や記憶・学習の定着など環境適応能力を向上
(※参考:厚生労働省「睡眠づくりのための睡眠ガイド2023」8ページ 睡眠に関する基本事項(案)2023年12月)
睡眠には、脳や心身の休息やバランスを整えたり、脳内の情報整理や神経回路を効率よくして発達させる成長促進など、様々な役割があります。
修復のノンレム睡眠と情報整理のレム睡眠
睡眠は脳の中でも『大脳』を休息・点検・修理をするために、2つの睡眠を使い分けて行われています。
眠りはじめの頃に多い『ノンレム睡眠』は、体は少し力が残った状態で、大脳を休めて修復。
夢を見ることが多い『レム睡眠』は、体から力が抜けてぐったりした状態で、脳は半覚醒状態になり情報整理を行っていて、この時に大脳の機能も発達すると言われています。
赤ちゃんや子どもの頃など、若い人ほど『レム睡眠』が多い理由は、大脳が成熟するまで十数年かかるためだとされています。
睡眠でのみ脳の働きが取り戻せる
動かないで安静にしているだけでは低下した脳の働きは取り戻せず、睡眠でのみ回復するとされているため、しっかり睡眠時間を確保することが大切です。
また睡眠時間の長さ(量)だけでなく、睡眠休養感(睡眠の質)も重要と考えられています。
睡眠休養感は眠りの環境(暑さ寒さ、明るさ暗さ、音や振動など)や、生活習慣やストレスなど様々な影響を受けるため、もし『よく眠った感じがない』場合は睡眠時間以外にも、眠る時の環境を見直してみることもおすすめです。
眠くなる理由は2つある
- 夜になって暗くなるから眠くなる
- 疲れたから眠くなる
人間には『夜になると眠くなる』性質があると言われています。
この性質は『朝日を浴びる』ことがスイッチとなり、約14~16時間後に自然と眠気を感じるように、体内時計が働き眠くなります。
太陽の光が関わっているため、太陽が出ている時間が長い季節は、睡眠時間が短くなる傾向があります。
理想的な睡眠時間にこだわりすぎず、目覚めた時や昼間の眠気があるかを日々チェックして、ご自分の体感に合わせて調整を。
また、体の機能回復も睡眠の役割のひとつ。体も適度に疲れるように運動を心がけると眠りやすくなります。
夜遅くまでやるよりも、眠ってからやってみる
どうしてもやらなくてはならないことがあり、夜遅くまで眠れそうにない時は、思いきって先に眠り、早起きして片付ける方が効率よくできる場合があります。
順番を変えても睡眠時間が長くならないかもしれませんが、脳の働きが戻って効率よく片付けられることで、焦りや心の負担が減らせるかもしれません。
睡眠時間は『もったいなくない』
睡眠は脳の休息・メンテナンスをしてより良くするために重要な時間現代日本は忙しく、睡眠時間が短くなってしまいがちですが、毎日の生活を少しでも心地よくするために、睡眠時間も大切に
<参考文献>
監修:日本睡眠環境学会 睡眠環境学入門(2023年6月10日)出版:全日本病院出版会
厚生労働省「睡眠づくりのための睡眠ガイド2023」 2023年12月21日
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
(閲覧日:2024年2月13日)
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筆者プロフィール
木野 いく