眠りの特集
寝る前の読書は眠りやすくなる?入眠を促す3つのポイント
布団に入る前に「読書」をすると、寝付きが良くなり、睡眠の質が高まると言われています。
ところが本の読み方によっては、かえって眠りにくくなる場合も・・・。
今回は、寝る前の読書で「気をつけてほしいこと」についてご紹介します。
Index
寝る前の読書のメリットは?
- リラックスできて眠りやすい
- 考えすぎを防ぎやすい
- 「記憶」に残りやすくなる
本を読んでいる間は、ゆっくりと自分だけの時間を楽しめ、心が穏やかになってリラックスしやすくなります。
リラックス状態になると、自律神経の「副交感神経」が働いて自然な眠りに導かれ、寝付きが良くなり睡眠の質が高まると言われています。
また日中嫌なことがあったり、寝る前に色々考えてしまう時など、本を読むことで考えが切り替わりやすくもなります。
英単語などを記憶・暗記するための読書は、寝る前が残りやすいとも言われています。
自律神経とは?
脳や脊髄が司令塔となり、そこからの指示を体内の各場所に伝えるもののひとつ。
生きるために必要な体の働きを無意識のまま、「緊張や興奮系の交感神経」と「リラックスや休息系の副交感神経」がバランスを取ってコントロールしてくれています。
休息系の副交感神経が働いている状態から、興奮系の交感神経へ切り替わる速さは「約0.2秒」と言われています。
反対に副交感神経の働きへ切り替わるには「約5分」かかり、落ち着くまでに時間が必要なので、寝る前に読書などのゆっくりできる習慣で眠りやすくなります。
寝る前の読書で気をつけること3つ
就寝前に本を読むことでリラックスして眠りやすくなるはずが、反対に寝付きにくくなってしまうことも。
原因として、
- 目や体の緊張や疲れ
- 強く明るい光を見る
- 面白くて熱中してしまう
などが影響して、眠りを妨げてしまっている場合があります。
寝る前読書で寝れなくなるのを防ぐため、注意してほしい点が3つあります。
- 「読む場所」と「姿勢」
- 「明るさ」と「時間の長さ」
- 「本の種類」と「内容」
それぞれについて、もう少し詳しくご紹介します。
「布団に入る前」に「座って」読む
椅子やソファに座って
布団の上に寝転んで仰向けになり、腕を上げた姿勢で本を読むと、腕や肩などに負担がかかって疲れやコリの原因に。
うつ伏せに寝転んだり、俯いて前かがみになる姿勢も要注意です。
また横たわった体勢では脳の働きが鈍くなりがち。せっかく本を読んでも記憶に残りにくくなってしまいます。
できるだけソファや椅子に腰かけ、背筋を立てた姿勢を心がけてみて。
布団の上は避けて
読書に疲れたらすぐに目を閉じられるよう、ベッドや布団の中に入って本を読みたくなりますが、布団は「本を読む場所で、眠る場所ではない」と脳が勘違いしやすくなります。
布団に入ったら自然と眠れるように、寝る前に読書する場合は他の場所で読みましょう。
明るさを調整して約20分でやめる
デスクライトなども利用して
理想的な寝る前までの部屋の明るさは「50ルクス」程度で、道路の脇にある街灯の下くらいの明るさです。
本を読みにくい明るさなので、手元や自分の周辺をデスクライトなどで照らして。
できればオレンジがかった暖色系の光で、明るさを調整できるタイプの照明がおすすめです。
手元を見続けることで目の負担に
近くを見ている間、目の周りの筋肉が働いて緊張している状態に。
緊張すると「交感神経」が働き、「副交感神経」は弱まるため、眠りにくくなってしまいます。
同じ姿勢を続けることも全身の緊張につながってしまうので、約5~20分を目安にして本を閉じるようにすると、寝付きやすくなります。
紙の本で面白すぎない内容にする
電子書籍は避けましょう
スマートフォンやタブレットなどの画面からは強い光が放たれており、強い光を見ることで自然な眠りを促す睡眠ホルモン「メラトニン」が分泌されにくくなってしまうため、電子書籍で読むと眠りにくくなる可能性があります。
紙に印字されている本で、できれば文字が小さくない方が読みやすくおすすめです。
楽しすぎない内容を選ぶ
「少し読んで終わりにできる」内容・ジャンルの本を選んで。
例えば、
- 何度も読んだことがある本
- エッセイや短編集
- 教科書やテキスト
- ビジネス書、自己啓発本
など、いつでも読み終われる内容や、少し難しいくらいの内容なら、熱中してしまい遅くまで寝れなかった、という失敗を防ぐことができます。
寝る前に読む本の内容は、夢に反映されやすくなると言われていますので、夢で見たくないジャンルは避けましょう。
ホラーやミステリー小説などは悪夢を見る可能性が高まってしまいます。
オーディオブックは使い方に注意
本を読み上げてくれる「オーディオブック」は目を使わないので寝る前の読書に良さそうですが、利用方法に注意が必要です。
眠りにつく時の理想的な周囲の音の大きさは「約40デジベル(dB)」以下と言われています。
しとしと降る雨音や、図書館の静けさが約40デジベルとされています。
内容が聞き取れないくらいの人がささやく声が30デジベル(dB)ほどなので、オーディオブックの音量によっては寝れなくなってしまう場合も。
また脳が聞こえてくるオーディオブックの内容を理解しようと働いてしまい、寝付きにくくなることもあります。
どうしてもオーディオブックを聞きたい場合は、入浴前など寝るまでに時間を置けるタイミングに聞くなど工夫してみてください。
寝る前読書をより良くするコツ
記憶した結果を想像してみる
効率よく暗記するため、教材や試験用テキストなどを寝る前に読む場合は、気持ちにも注意してみてください。
見るだけでも「嫌な気持ちになる」場合は、脳がそのまま眠ってしまうと翌日も嫌な気持ちで目覚めやすく、ネガティブな出来事を引き寄せてしまいがち。
そんな時は、「記憶した結果」を意識してみましょう。
覚えることで試験合格・仕事ができるようになるなど、何かが良くなる、ポジティブな気持ちになる状態を想像すると、目覚めが変わりやすくなります。
「寝る前の読書」で「良い睡眠」を
リラックスして寝付きやすくなる「寝る前の読書」は、ソファなどに座って、紙の本で約5~20分ほど読むことがポイント。忙しい時などは「本を読まないと」と思うとストレスになって眠りにくくなってしまいますので、できる時に試してみてください。
<参考文献>
荒木信夫監修
「イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める!自律神経のしくみ」
株式会社 西東社 2022年4月15日発行
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筆者プロフィール
木野 いく