眠りの特集
寝具の役割
寝る時に使う物「寝具(しんぐ)」には、眠りの質を高めるために大切な役割があります。
今回は「掛け布団、敷き布団やマットレス、まくら」の役割と選び方の知識について、簡単にご紹介いたします。
寝具とは?
寝具とは、眠る時に使う物のこと。夜具や寝装具とも言われます。
掛け布団、敷布団やマットレス、枕の他、ベッド、毛布、寝巻きやパジャマ、布団カバーなど幅広く使われています。
豆知識:昔の寝具は藁が当たり前だった?
古代の日本では「むしろ(わらやいぐさなど植物を編んで作った敷物のこと)」や丸太のベッド、藁(わら)にもぐって眠るのが一般的だったと言われています。
その後、木綿入りの厚めの着物「夜着(よぎ)」や小ぶりで木綿の量が少ない、薄手の「掻巻(かいまき)」が掛け布団のように使われるようになります。
各家庭でわたや藁を入れて、布団を手作りすることが多く、布団専門店が登場するのは明治時代。
昭和の戦後しばらくたってから、一般の人々までわた入り掛け布団・敷き布団が使われるようになり、1970年頃からは「羽毛入り掛け布団」が人気の寝具となっています。
なぜ寝具を使うの?
人は目が覚めている時間は、自律神経が体温など「身体の内部環境」を一定に保とうと働いてくれます。
ところが睡眠中は自律神経の働きが鈍くなるので、寝具がその働きを補い、サポートするために使われます。
また起きている間は衣類を気温に合わせて調整できますが、眠っている間はそれもできません。
パジャマなど寝間着の上に重ね着しすぎると、寝返りをスムーズにできなくなりがち。
眠りが浅くなったり身体の疲れが取れていないなど、睡眠の質に影響してしまいます。
横たわった時、身体が接する部分にかかる圧力(体圧)が一部分に集中しないため、寝返りをして姿勢を調整することも眠りに欠かせない要素。
睡眠中にかく汗を吸収して、空気中に放つことで、人間が快眠しやすい環境を整える役割も担っています。
掛け布団や敷き布団・マットレス、枕だけでなく、敷きパッドや布団カバー、パジャマなど、すべての寝具が快適な睡眠に関わっています。
寝具の選び方3つのポイント
心地よく眠るために寝具を選ぶ時、下記3つの要素が大切です。
- 寝姿勢を保持・寝返りしやすさ
- 体圧分散
- 寝具内の温度と湿度調整
- 1:寝姿勢を保持・寝返りしやすさ
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寝具の中でも敷き布団やマットレスと、枕が深く関わる部分です。
人間がまっすぐ立った時の背骨がなだらかなS字型になる姿勢が、睡眠中も負担が少ない為、その姿勢に近づけることが快眠につながります。枕は頸椎(首すじ)と敷き布団やマットレスとの間にできる隙間を埋めるために必要です。
どのような隙間ができるかは、敷き布団やマットレスによって変わるため、枕だけでは理想的な寝姿勢をサポートできないことも。寝ている時の姿勢はひとりでは気付きにくいため、他の人に横から見てもらうと判断しやすいのでおすすめです。
寝起きに体の一部分だけがいつも痛い時などは、寝姿勢が自然な姿勢とは違っている場合もあります。※立っている姿勢が本来の自然な姿勢より歪んでいる場合もあります。
じぶんまくらのオーダーメイド寝具シリーズでは、本来の自然な姿勢に近づけるようサポートしながら、寝姿勢を調整しています。
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- 2:体圧分散
- フローリングなど硬い床で寝転ぶと、床と接する身体の表面に加わる体圧(たいあつ)と言われる圧力が、一部分に集中して圧迫。そのまま時間が経つと、体圧が集中した部分に痛みを感じます。
敷き布団やマットレスは、身体と接する部分にかかる圧力を分散する、体圧分散(たいあつぶんさん)が大切。
硬さや素材、構造に工夫を施して、寝姿勢を保持しながら体圧分散してくれる寝具を選ぶことがポイントです。
- 3:寝具内の温度と湿度調整
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身体と寝具の間にできる小さな空間の、温度や湿度を「寝床内気象(しんしょうないきしょう)と言います。
この寝床内気象が「温度32~34℃」「湿度45~55%」ほどが、快適に眠りやすいと言われます。理想的な寝床内気象に近づけるには、保温性・吸湿性のバランスを、ふとんの種類や素材の組み合わせで、季節や室温に合わせることが大切です。
豆知識:保温性・吸汗性・吸湿性とは
◆保温性
身体から出る熱を逃さず、布団内に留めること。
◆吸汗性
吸汗性(きゅうかんせい)とは、繊維製品が「液体」を吸収する能力のこと。
吸水性とも言われます。
◆吸湿性
吸湿性(きゅうしつせい)とは、空気中の水蒸気(気体)を吸収する性質。
吸湿性が高いほど、吸い込んだ湿気を蒸発させやすい。
寝具にとって重要なポイントです。
寝具別の選ぶポイント
◆掛け布団は「軽く、あたたかく、フィットするもの」
・体温を逃さず布団内に留める(保温性)
・汗を吸い湿気を逃す(吸汗性・吸放湿性)
・寝返りしやすい(軽い)
・寝返りをしても身体との隙間が少ない(フィット性)
その他、羽毛布団の場合は、羽毛が空気を含んでふくらむ具合(かさ高性やダウンパワー)も、軽さと保温性の目安になります。
掛け布団の種類や違いについて、こちらでもご紹介していますのでご参照ください。
◆敷き布団・マットレスは「体圧分散して無理のない寝姿勢を保ち、寝返りをサポートするもの」
・身体に触れる表面はほどよくやわらかい。
・立った状態に近い寝姿勢をサポートする。
・身体の一部に圧力が集中しない。
自分に合う硬さで、適度な寝返りが無理なく行えることも、大切なポイントです。
◆枕は「頭と首を無理のない自然な姿勢で支えるもの」
・立った状態に近い理想的な寝姿勢で、マットレスなどとの隙間を埋めるもの。
・通気性がよく熱がこもりにくい
・型くずれしにくい素材を選ぶ
・枕の高さを調整できるタイプを選ぶ
枕も詰め物の素材により、硬さや頭部の支える感覚、通気性や耐久性が変わります。
敷き布団やマットレスがヘタってきた時や、自分の姿勢や体型の変化などで寝心地が変わってしまった時、枕の高さを変えることができる枕の方が、寝姿勢サポートしやすくなります。
自分に合う枕の高さを調べる方法やおすすめの枕の選び方など、詳しくはこちらでもご紹介していますのでご参照ください。
豆知識:空気の層とは
空気の層とは、掛け布団の中に詰めた素材、ひとつひとつの間にある空気のこと。
外の空気との間で、熱や湿気を外に逃したり内部に溜めるコントロールのために欠かせません。
詰め物の素材ごとに空気を含む力や、温度の高い方から低い方へ移動する現象の起きやすさ(熱伝導率)が違うため、保温力・吸汗性・吸放湿性が変わります。
寝具の役割は、睡眠中の身体の内部環境を保つこと
起きている間、意識していなくても自律神経が「体温などの内部環境」を維持していますが、睡眠中は自律神経も鈍くなるため、補助・サポートするために寝具が使われます。寝具にまず重要なのは「掛け布団」「敷き布団」「枕」の組み合わせ。
そして季節に合わせて、布団の種類や毛布、敷きパッド、カバーリング、パジャマなどの素材も変えると、快適に眠りやすくなります。
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筆者プロフィール
木野 いく