眠りの特集
春はなぜ寝ても眠い?眠気対策と春の睡眠をより良くするコツ
春になるといつも通りの生活を送っていても、あくびばかりが出て、ちゃんと眠ったはずなのに眠い・・・。そんなことありませんか?
そこで今回は、なぜ春になると寝ても眠いのか、春の眠気の理由と、筆者自身が実践する眠気対処方法、睡眠をより良くするコツなどをご紹介します。
春に寝ても眠くなりやすい理由3つ
脳から全身に命令を伝える『自律神経』は、呼吸・血圧や心拍数・体温調節・消化など、あらゆる面から心身を健康な状態に保てるように、無意識の間にずっと働いています。
自律神経は、交感神経と副交感神経のどちらが強く働くかを切り替えて、心身の調節を行っています。このバランスが乱れてうまく働けなくなる状態が、自律神経の乱れと言われています。
自律神経が乱れると、春眠暁を覚えずと言われるほど目覚めにくく寝坊したり、ぼーっとして集中できない状態に。
夜も眠りにくく、血行がうまく調節できずに体が冷えてコリやすい、胃腸の調子が乱れるなど様々な体調不良を感じやすくなります。
<春に自律神経が乱れやすい理由>
- 寒暖差で自律神経が疲れやすい
- 花粉などアレルギー物質が増える
- 生活パターンや環境変化が多い
寒暖差で自律神経が疲れやすい
冬の寒さになじんでいた体は、暖かい春の陽気にまだ慣れていない状態。
そこに7℃以上の寒暖差があると、変化に対応するために自律神経が働きすぎて疲労し、うまく調整できなくなることも。
花粉などアレルギー物質が増える
春はスギやヒノキ花粉など、アレルギー症状の原因にもなる物質が多く飛散します。
するとくしゃみや鼻づまりで眠れない、眠りが浅くなるなど、睡眠で心身の疲れをリセットしきれない状態に。自律神経が乱れて、さらに鼻づまりが悪化するなど悪循環も起きやすくなります。
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生活パターンや環境変化が多い
新年度を迎えて、就職や転職・新しい仕事を任されたり、進級や進学などで生活パターンが変化することも多い季節。
意識していなくてもストレスが溜まりやすく、緊張や不安も感じやすいため、自律神経が乱れがち。
気持ちも安定せず、イライラしたり、落ち込みやすくなるなど心に影響することも。
春の眠気対策におすすめ方法3選
- 香り・朝食で目覚めやすくする
- ガムやコーヒー・昼寝を上手に取り入れる
- 手のツボを押す
香り・朝食で目覚めやすくする
好きな香りや、アロマオイルなどで適度な刺激を
鼻から取り込んだ香りは、神経を伝わって脳に届くと、自律神経やホルモンの分泌・免疫の働きを調整している部分に働きかけると言われています。
朝起きたら、セロリやレモン・グレープフルーツなどの野菜や果物の香りで、活動モードの交感神経に切り替えやすくしてみて。
ペパーミント、薄荷(ハッカ)などのアロマオイルもおすすめ。
仕事中に眠くなった時も、ミントガムを噛んだり、ハンカチなどに少量つけて香りを楽しむことで、適度な刺激となり眠気が覚めやすくなります。
少しだけでもいいので朝食を
食欲を感じないかもしれませんが、軽くても朝食をとることで、内臓から自律神経へ刺激を与えて目覚めやすくなる効果も期待できます。
また、夜にしっかり眠って翌朝が目覚めやすくなるよう、朝食には必須アミノ酸の『トリプトファン』が含まれている食べ物を選ぶこともおすすめです。
トリプトファンは約14~16時間かけて、幸せホルモン『セロトニン』を経て、自然な眠りを促す睡眠ホルモン『メラトニン』へと変化していくため、朝食で摂取することで夜眠りやすくなります。
トリプトファンは体内で作ることができない栄養素ですので、食材を意識して選んでみてください。
トリプトファンが含まれている食材の一例
- 卵
- チーズ・ヨーグルトなどの乳製品
- 豆腐・納豆・味噌などの大豆製品
- 白米・玄米などの穀類
- ピーナッツなどのナッツ類
コーヒー・昼寝を上手に取り入れる
昼寝は30分未満で、15時までに
どうしても覚めない眠気には、仮眠をとることで対処しましょう。
昼寝は椅子に座って机にうつ伏せになるなど、リラックスしすぎない姿勢を選ぶことがポイント。
30分以上の昼寝をしてしまうと、夜眠りにくくなって、睡眠の質に影響してしまう可能性が高まります。
寝過ごしてしまわないように、スマホのタイマー機能やキッチンタイマーなどを利用しましょう。
昼寝の前にコーヒー・後は体をほぐして
昼寝の前に、コーヒー・紅茶・緑茶などカフェインが含まれた飲料を飲むと、目覚めやすくなると言われています。
昼寝をした後は、軽いストレッチや散歩など体を軽く動かして、眠気を覚ましましょう。
手のツボを押す
眠くて集中できない時は『中衝』
中指の爪の生え際を、反対側の親指とひとさし指でつまんで、ゆっくり押してみて。
中指の爪の根元、親指寄りの位置に『中衝(ちゅうしょう)』と呼ばれるツボがあり、刺激することで眠気が覚めやすくなると言われています。
緊張して落ち着けない時は『労宮』
気持ちが高ぶっている、緊張しすぎて辛い時は、手のひらにある『労宮(ろうきゅう)』を。
手を握った時、指先が当たる位置の中指と薬指の間、中指と薬指から手首に向かって続く骨の間にあります。
反対側の手を使い、親指の腹部分を手のひらの労宮に当てて、ゆっくり優しく押してみてください。
ストレスや心労、緊張や不安な気持ちを緩和すると言われています。
仕事の合間や移動途中など、思い立った時に数分だけでも、ゆっくり呼吸しながらツボを押してみましょう。
春の睡眠をより良くするには?
春の疲れ・自律神経の乱れ対策に睡眠が大切
春の疲れ・自律神経の乱れをそのままにしてしまうと、5月頃に疲れが溜まり無気力な状態(五月病とも言われます)になってしまう可能性も。
早く環境に慣れなければと焦ってしまいがちですが、急ぎすぎて燃え尽きてしまわないように、小休止する時間も取り入れてみて。
さらに睡眠の質と量(長さ)もチェック。睡眠の質を高められるように寝る前の習慣を見直してみたり、少し早めに就寝することがおすすめです。
<春も睡眠の質を高めるために>
- 笑顔になれるものを用意する
- 寝る前は部屋を薄暗くして体をほぐす
- 掛け布団・寝室温度を調節する
笑顔になれるものを用意する
笑顔になるだけでも、幸せホルモン『セロトニン』が分泌されて、気持ちが安らいで眠りやすくなると言われています。
作り笑いでも気持ちが前向きになりやすくなるので、歯を磨く時などにこっそり口角を上げてみて。
かわいいペットなどの写真、楽しかった旅行や友だちとの思い出の品など、ほっこりした気分になれるもの、声を出して笑いたくなる本などを日頃から探して、寝室に置いておきましょう。
日中も休憩時間などに、こまめに笑ってみることもおすすめです。
寝る前は部屋を薄暗くして体をほぐす
深く呼吸しながらストレッチでストレスをリセット
頭の中を空っぽにして、ヨガやストレッチなどで体を軽く動かして緊張をほぐす時間を作りましょう。
ゆっくり呼吸をくり返しながらできる、無理のない運動をすることで、自律神経の交感神経が強く働いて緊張していた状態から、リラックス・休息モードになる副交感神経へ切り替わり、自然な睡眠へと移りやすくなります。
強張っていた体の部分がほぐれて、朝起きた時に体の痛みやコリを感じにくくなる効果も。
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明るい光を避ける
明るい光を見ると、睡眠ホルメン「メラトニン」が減ってしまい、眠りにくさにつながります。
ストレッチをする時など寝る前に過ごす室内は、照明の明るさを落として。
スマホやパソコン画面を見ること、コンビニなど明るい店へ行くことを避けましょう。
目覚ましはスマホではなく、時計にするとスマホを見なくてもセットできるのでおすすめです。
掛け布団・寝室温度を調節する
室温20度が続く頃を目安に春の布団へ
気温差が激しい春の寝具は、掛け布団の厚さを調節したり、重ね使いをして乗り切りましょう。
おすすめの掛け布団は『合い掛け羽毛布団』と呼ばれる、冬の羽毛布団よりも薄手の羽毛布団です。シングルサイズで羽毛充填量が約0.8kgくらいのものが目安。
羽毛は寝室の気温に合わせて、布団内の温度・湿度をある程度調節してくれるため、朝晩の寒暖差による冷えすぎを予防できる素材。
春や秋など季節の変わり目で気温が激しく上下する時期におすすめの掛け布団です。
合い掛け羽毛布団だけでは物足りない時は、綿毛布を体と羽毛布団の間に挟んだり、毛布やガーゼケット・タオルケットなどを羽毛布団の上に重ねて。
反対に暑さを感じる場合は毛布だけにするなど、気温・体感に合わせて調節を。
キルトケットや合繊布団、真綿布団などもおすすめです。
寝具だけで対応しきれない場合は、エアコンで寝室の温度を調節することも検討してみてください。
▼合い掛け羽毛布団の一例はこちら
(※じぶんまくら公式オンラインショップへ移動します)
春は想像以上に疲れているから、眠くなりやすい
寒暖差・花粉・ストレスや緊張などで、春は自律神経が乱れ、疲労や眠気など体調不良になりやすい時期。日中の眠気は香りや昼寝、ツボで対策を。就寝前の過ごし方を見直して、少しでも質の良い睡眠で春を乗り切りましょう。
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筆者プロフィール
木野 いく