眠りの特集

毛布の種類・違いとおすすめの選び方

寒さが気になりはじめると、まっさきに使いたくなる毛布。
いざ買おうとすると種類がたくさんあって、何を選んでいいのか迷う・・・。
そこで今回は人気寝具「毛布」の選び方、種類や素材による違いと、おすすめの使い方をご紹介します。

毛布はそれぞれ何が違うの?

毛布の主な違い

  1. 作り方
  2. 構造
  3. 素材(材質)

毛布は「作り方と構造・素材」を組み合わせて、多くの種類が作られています。
組み合わせによって暖かさや肌触りだけではなく、おすすめの使い方や、お手入れのしやすさなどが異なります。

それぞれについて、もう少し詳しくご紹介いたします。

1:作り方

製造方法による呼び方の違い

毛布の主な作り方は、大きく分けて2タイプ。

織毛布(おりもうふ)

織毛布のイメージ

織毛布のイメージ

経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交差させた生地の表面を起毛させて、毛羽を作った毛布。綿毛布やウール毛布などが代表的。密度がしっかり詰まっているため、薄くても暖かめの毛布が多い。

編み毛布

編み毛布のイメージ

編み毛布のイメージ

セーターを編むように、ループ状にした糸の中に糸をくぐらせて作る「編立(あみたて)」方法の毛布。使用する機械によって、ニット毛布やマイヤー毛布、ボア毛布などと呼ばれる。毛足が長いため空気を含んで暖かく、ふわふわと柔らかい毛布が多い。
※土台となる生地にパイル糸を植え付けて作る「タフト毛布」もありますが、現在はほとんど作られていないと言われています。

2:構造

構造(様式)による呼び方の違い

毛布の主な構造は、主に4タイプ。

合わせ毛布

合わせ毛布(マイヤー)の構造イメージ図

合わせ毛布(マイヤー)の構造イメージ図

生地2枚の間にループ状の糸をくぐらせながら作ったものを、中央で切って反転させて、生地同士を2枚重ねて仕上げたもの。2枚合わせ、二重毛布とも呼ばれます。暖かくやや重めの毛布になりやすい。

ニューマイヤー毛布

ニューマイヤー毛布の構造イメージ図

ニューマイヤー毛布の構造イメージ図

1枚の生地で片面を起毛させたもの。1枚もの、一重毛布とも呼ばれます。薄手で軽めが多い。

えり付き毛布

えり付き合わせ毛布の構造イメージ図

えり付き合わせ毛布の構造イメージ図

生地の片方が長く、表面に折り返して重ねたもの。衿付き・襟付きと表記されることもあります。首元が重なるため暖かく、のどに触れる部分も毛足があるためやわらかい肌触りに。

わた入れ毛布

わた入れ毛布の構造イメージ図

わた入れ毛布の構造イメージ図

合わせ毛布の重ねた生地の間に「わた」を詰めたもの。毛布の中に層ができるため暖かいけれど、重めの毛布になりやすい。

その他にも、使う場所やシーンに合わせた毛布もあります。

くり衿毛布

くり衿毛布イメージ

くり衿毛布イメージ

首元がU字型になっている毛布。長い部分を折り返し、布団と体の間に入れると隙間を軽減するので、暖かい空気が逃げにくくなります。
折り返さず、顔の両脇に長い部分を伸ばしたまま使う方法もあり、寒がりの方に人気があります。

敷き毛布

体の下に敷いて使うタイプの毛布もあります。寝返りした時にヨレてしまわないよう、四隅にゴムが付いているものも。

電気毛布

電気を使って暖められる毛布。体の下に敷いて使うものや、ひざ掛けタイプのものなど。

着る毛布

着る毛布イメージ

着る毛布イメージ

バスローブやガウン・コートのように、身にまとえる形をした毛布で、くつろぐ時間を暖かく過ごせるため人気があります。
基本的にはリラックスタイムに使うもので、眠る時は脱ぐか、開いた状態で体に掛けて使います。

3:素材(材質)

主な素材の特徴がこちら。

毛布の素材ごとの特徴

アクリル

アクリル毛布イメージ

アクリル毛布イメージ

羊毛(ウール)を目指して、石油から人工的に作られた合成繊維(化学繊維)。

メリット
まるでミンクなど動物の毛を触っているような、やわらかい触感がある。空気をたっぷり含むため保温性が高く、鮮やかな色に染まりやすい。耐久性に優れているため、耐用年数が長め。洗濯しやすい。
デメリット
毛玉や静電気が起きやすい。吸水・吸湿性が弱いため蒸れやすい。
おすすめの使い方
重すぎない場合は掛け布団の上に重ねる。静電気抑制加工がされていたり、蒸れにくい寝具と併用する場合は、掛け布団の下に重ねても。

ポリエステル

ポリエステル毛布イメージ

ポリエステル毛布イメージ

石油などを原料として、人工的に作られた合成繊維(化学繊維)。

メリット
ふわっとやわらかい肌触りが多い。耐久性があり、洗濯や収納などがしやすい。静電気を抑えたり、吸湿発熱・消臭など機能性を加えやすい。自然素材と比べると、安い値段のものが多い。
デメリット
静電気が起きやすい。吸水・吸湿性が弱いため蒸れやすい。
おすすめの使い方
アクリル毛布と同じ

木綿(綿・コットン)

綿毛布イメージ

綿毛布イメージ

アオイ科ワタ属の植物から採れる、自然素材の繊維です。

メリット
吸水・吸湿性に優れているので蒸れにくい。静電気も少なめ。他の寝具と組み合わせて年中使いやすい。
デメリット
合成繊維と比べると保温性はやや低め。湿気を吸って重くなりやすいのでこまめに干すなど乾燥が必要
おすすめの使い方
夏は空調機器も併用して綿毛布を使い、春秋は薄めの掛け布団と重ねて。冬は羽毛布団など保温性の高い掛け布団の下に重ねて。年中使いたい方におすすめの毛布。

羊毛(ウール)

ウール毛布イメージ

ウール毛布イメージ

羊から採れる天然繊維。羊の種類によって「メリノウール、タスマニアウール」など品種名が付いた呼び方をされる場合もあります。

メリット
ちょうどいい湿度を保つ性質がある。保温性もあり、吸湿性・放湿性に優れているので蒸れにくい。汚れを弾く特長もある。
デメリット
繊維が絡まりやすい構造のため、洗える加工をしていない場合は、洗濯が難しい。羊の毛を洗浄するなど手間がかかるため、毛布の価格も高めになってしまう。弾力性に優れているので、肌触りがゴワついて感じる場合がある。
おすすめの使い方
羽毛布団など保温性の高い掛け布団の下に重ねる

絹(シルク)

蚕(かいこ)の繭から作られる天然繊維。成分が人間の皮膚に近いため、肌なじみがよく古くから珍重されています。

メリット
他にはない、しっとりなめらかな肌触り。保温性もあり、綿よりも優れた吸湿・放湿性でさらっとした使い心地。静電気が起きにくい。
デメリット
シワになりやすく、紫外線に弱いため黄変や劣化しやすい。製品化するまでに手間がかかり、毛布の価格も高めになってしまう。洗濯が難しいものが多い。
おすすめの使い方
ウール毛布と同じく、掛け布団の下に重ねる

自然素材:カシミヤ

カシミヤ毛布イメージ

カシミヤ毛布イメージ

カシミヤ山羊が極寒期を乗り越えるため、体を覆う毛の内側に生やす「ダウンヘアー(ウブ毛)」が、暖かくなり自然と抜けたもの。これを集めて毛布に使用されます。

メリット
ウールよりも細い繊維でやわらかく、なめらかな肌触り。暖かく、とても吸湿性に優れている。
デメリット
集めたカシミヤ山羊の毛を選別するなどの手間がかかり、希少性も高いため高値になってしまいやすい。水に弱いため、洗濯が難しい。クリーニングに依頼することがおすすめ。
おすすめの使い方
ウール毛布と同じく、掛け布団の下に重ねる

地糸はポリエステルが多い理由

マイヤー毛布の場合、ふわふわの毛羽部分(パイル糸)が抜けないように、基布(きふ)と呼ばれる毛布の芯(地糸部分)があります。
主にポリエステル素材が使われていて、熱を加えると収縮するため、パイル糸を縛りつけるような作用があり、毛羽落ちを防いでくれます。
また耐久性にも優れているため、しなやかさに曲がり体に寄り添いやすくなります。

毛布の見分け方

織毛布か、毛足が長い編み毛布か。作り方で毛布を選びたい場合は、毛布の品質表示(組成)を確かめてみて。

組成表示の一例

組成表示の一例

「たて糸、よこ糸」の素材が表記されている毛布は、織毛布の場合が多い。
「パイル糸(毛羽部分)、地糸」と表記される毛布は、編み毛布(ニット毛布・マイヤー毛布など)の場合が多いので、目当ての毛布がどちらなのか、見分けやすくなります。

ただし、毛布すべての部分に同じ素材を使っている場合は、素材名だけ表示される場合もあります。
また製造方法によっては様々な表示がありますので、あくまでも目安としてご参照ください。

毛布の商品名の見分け方

毛布は「作り方・構造・素材や生地の特徴」を組み合わせた商品名が多いです。

例えば「アクリルマイヤー合わせ毛布」の場合
素材がアクリル。作り方がマイヤー毛布、2枚合わせ構造の毛布ということ
「マイクロファイバー合わせ毛布」の場合
素材がとても細い繊維・マイクロファイバー。2枚合わせ構造の毛布ということ

素材が表記されていなかったり、ただ「あたたかい毛布」と表記されている場合もあります。
※各寝具メーカーや販売店によって表記が異なります。

毛布選びのポイントは?

どのような使い方をしたいのか、お好みの肌触りや素材など、自分なりにこだわりたいポイントを決めて選ぶことをおすすめします。

毛布のサイズと使い方

一般的な毛布のサイズと、使い方の一例がこちら。

シングルサイズ:140×200cm
ひとり用のサイズ。一番よく使われる大きさなので、商品数も多め。幅広い種類から選びたい、ひとりで1枚使いたい方におすすめ。
セミダブルサイズ:160×200cm
毛布にくるまりたい方や、寝返りした時に毛布がめくれずにゆったり眠りたい方、お子さまと添い寝される方などに。販売される商品数がシングルより少なめの傾向がある。
ダブルサイズ:180×200cm
お二人用の大きさ。冬は寝返りした時にどちらかが毛布から出てしまう場合も。シングルサイズをひとりずつ使うのもおすすめ。
ハーフサイズ:100×140cm
シングルサイズの2分の1。お子さまの毛布や大人が寝る時に半分に折って、掛け布団の胸元や足元を挟むように使う方法も。他にもリラックスタイムに足や肩に掛けたり、椅子に敷いて暖かいカバー代わりに使う場合もある。
クォーターサイズ:70×100cm
シングルサイズの4分の1で、ベビー毛布と表記される場合もある。急な冷え対策に持ち歩きやすい大きさ。
アウトドアやお出かけの時にストールのように使ったり、オフィスなどでひざ掛けとしても使えるサイズ。

寝具メーカーや作り方・素材などにより異なる場合もあります。

日本製の毛布なら「Qマーク」を確認

日本毛布工業組合の品質基準をクリアした日本製毛布の印

日本毛布工業組合の品質基準をクリアした日本製毛布の印

日本毛布工業組合が2008年に設けた、品質保証マーク。
国内で、毛布を作るすべての工程(編立・染色・加工・縫製)を行っている毛布の中で、品質基準に合格した毛布にだけ使うことが認められているものです。
品質の良い国産毛布をお求めの方は、毛布に「Qマーク」が付いているかを目印にしましょう。

高品質のウール毛布を求めるなら

ウールマークの例

ウールマークの例

高い品質基準を満たした羊毛製品にだけ付けることができる「ウールマーク」認証も、選ぶポイントのひとつ。

ウールマーク
ウールマーク社(ザ・ウールマーク・カンパニー)が定めた、素材の性能・縫製などの厳しい品質基準に合格した羊毛製品だけが使用できる。使われている羊毛の新毛割合によって、マークが変わる。

毛布を使う時期はいつ?

寝室環境や空調機器の使い方、お好みによって異なりますが、室温を目安にして使い方の一例がこちらです。

1枚で使う場合(綿毛布):室温25℃前後が続く頃
夏にエアコンや扇風機を使いながら、綿毛布を使う場合もあります。
1枚で使う場合:室温20℃前後が続く頃
一般的に「室温20℃前後」が続く時期から、厚めの毛布(合わせ毛布・わた入れ毛布)などを使いはじめます。
掛け布団と重ねる場合:室温10℃前後が続く頃
室温10℃前後が続く時期には、羽毛掛け布団や合繊布団などと重ねて。綿毛布など自然素材の毛布は、掛け布団の下に。ポリエステル・アクリル毛布などは掛け布団の上に重ねて(肌触りを楽しみたい方は逆でも使えます)
その他
冬に限らず、春秋なども外出時に予想以上の寒さから身を守るため、足元や肩に掛けられるように、小さいサイズ(クォーターサイズなど)の毛布を持ち歩くのもおすすめです。

毛布とブランケットは違うもの?

「毛布」は主に、眠る時に体に掛けて使う寝具のこと。
「ブランケット」は、リラックス時や外出時などに羽織ったり肩に掛けて使う防寒用アイテムを指すことが多いです。
通販サイトやお店によっては、どちらも同じ意味で使っている場合もあります。

毛布に表や裏がある?

1枚ものニューマイヤー毛布の場合
タグやロゴが縫い付けられていたり、毛並みが長い・良い方が表で、体に触れる面になるように使うのがおすすめ。羽毛布団の上に掛けて使う場合は、裏側が布団に触れるように掛けると、滑りにくいと言われています。
合わせ毛布の場合
タグやロゴが付いていたり、きれいな柄がある面が表面。表面の方が肌触りがいい場合が多いため、表面を体に触れる側に。両面あまり差がない場合もあります。

寝具メーカーなどや毛布によって、裏表があるなし、目印になるタグの位置も異なります。
また、どちらが体に触れる面で使っても差がない毛布もありますので、お好みで使い分けてください。

毛布選びは「構造・素材」も参考に

春秋の冷え込み対策や、冬暖かく眠るためにも。
構造や素材についても気にしながら、自分のお気に入り毛布を探してみてください。

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筆者プロフィール

木野 いく

2014年寝具会社に就職。約9年間の経験を活かし、現在いい眠り.pressにて、寝具や睡眠の知識にまつわる記事を担当。 趣味は読書、散歩、寝ること。好きなものはチョコレート(長年手の湿疹に悩む…原因はチョコレート説あり)
2014年寝具会社に就職。約9年間の経験を活かし、現在いい眠り.pressにて、寝具や睡眠の知識にまつわる記事を担当。 趣味は読書、散歩、寝ること。好きなものはチョコレート(長年手の湿疹に悩む…原因はチョコレート説あり)

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