眠りの特集
夏の寝室にコレを置いて~熱中症も予防するおすすめ快眠方法~
今回は梅雨の後半から多くなる熱中症を予防するため、寝る時におすすめの対策方法をご紹介します。
温度・湿度計の大切さを実体験
6月も残りわずかになった、薄曇りでも暑かった日の夜のこと。
梅雨らしい蒸し暑さを感じながら、扇風機を回して眠りました。
翌朝、背中が暑くて、いつもより早く目が覚めてしまいました。
パジャマが汗で湿って重く、体温がいつもより高いような感覚も。
そのまま出勤したものの、一日中吐き気を感じ、体がだるい。
これは何だかいつもと違うぞ、と思い、夜の寝室に温湿度計を置いてみたところ、予想以上の数値が。
室温30度、湿度88%
日本生気象学会の「日常生活における熱中症予防指針 Ver.4,2022」によると、熱中症に「厳重警戒」レベルの室内状況!
慌ててエアコンをつけて、室温28度・湿度60%ほどに下がってくるにつれ、快適さが増していくのがわかりました。
厚手の冬物コートを脱いだみたいに、とっても体が軽く、爽やかになったような感覚に。
朝起きる時間もほぼ同じくらいで、生活リズムが崩れていたわけでもなく、バランスのとれた食事も心がけていましたが、それだけでは不十分なのだと痛感した出来事です。
熱中症とは
身体が環境に対応できずに、体のだるさや吐き気、めまい、頭痛など様々な症状が起きてしまうこと。
総務省消防庁によると、熱中症による救急搬送の中で症状が発生する場所は「39.5%」が「住居」です。
年齢別では、18~64歳までの方が約33%、65歳以上の方が約54%と言われています。
真夏だけではなく、急に暑くなってくる4月頃や、梅雨など湿度の高い時期も要注意です。
湿度が高いと汗をかいてもうまく蒸発できず、体温調節がしにくくなります。
夜の熱中症対策
ポイントは3つ
- 寝室内の環境
- 寝る前の行動
- 暑さに体を慣らす
それぞれのポイントについてご紹介いたします。
1:寝室内の環境
室内の温度・湿度を測る
今回、私自身が一番大切だと感じたのはこれ。
自分の感覚だけに頼るのではなく、「数値化」すると対応や判断がしやすくなります。
エアコンなどで室内の温度・湿度を保つ
寝室の室温をエアコンなどで28度以下に調整を。
エアコンの設定温度と室温が同じにならない場合がありますので、温湿度計で確認しながら調整してください。
エアコンの冷風が苦手でつい敬遠してしまう方は、風が体に当たらないように向きを調整して、扇風機で冷たい風を室内に循環させるなど、自分に合う方法を試してみて。
梅雨の時期は雨が降っていなくても湿度が高くなりがち。湿度は「50~60%」ほどを保てるように除湿をして。
室内環境や使用するエアコンによっては、湿度が下がりすぎる場合もありますので、適切に加湿するなど、湿度計を確認しながら調整してください。
タイマーを設定して睡眠途中にエアコンが切れる状態にするよりも、朝までつけたままの方が、夜の熱中症を防ぐためにおすすめです。
※体感は個人差がございます。また環境により異なりますので、室温や湿度などは目安として、体調に合わせて調整してください。
涼しいパジャマなどを着る
日中にも着られるTシャツで眠るより、睡眠時のために作られたパジャマの方がより快適に。
首元・袖・裾がゆったり広めに作られているパジャマの方が、空気が通り抜けやすいのでおすすめ。
どんな生地で作られているのかも重要ポイント。綿・麻などの汗を吸う素材を選んで。
敷きパッドや枕パッドなども見直してみる
冷感敷きパッドやい草シーツなど、涼しく眠りやすい寝具を試してみて。
選び方のポイントは、「通気性がある・汗を吸う」ものを選ぶこと。
もっと詳しくはこちらの記事でご紹介していますので、ぜひご参照ください。
2:寝る前の行動
寝る前に水分をとる
人は眠るために汗をかいて体温を下げるので、どの季節でも水分が失われますが、汗をかきやすい夏は特に、意識して眠る前に水分を補給してください。
寝る前にストレッチをする
軽いストレッチや簡単なヨガをすると、ほどよく汗をかいて、汗が蒸発する時の気化熱で体温も調節しやすくなります。
手が届く範囲に水を置く
もしのどが渇いて起きてしまった時や、睡眠途中でトイレに起きた時など、枕元などすぐ取れる場所に水を用意しておきましょう。
冷たい水では、活動系の交感神経を刺激して、眠りにくくなってしまうので、常温の水がおすすめです。
3:暑さに体を慣らす
無理しない程度の運動を心がける
暑い盛りの時間帯は屋外での運動は控えた方がいいのですが、暑さに体が慣れるためには運動することが大切。
日陰や気温が下がる時間帯などに、室内でできることでもいいので体を動かしましょう。
体が暑さに慣れることを、「暑熱順化(しょねつじゅんか)」と言われています。
暑熱順化が進むことで、汗をかいたり、体の表面から空気中に体内の熱を逃がすなど、体温の調節がしやすくなります。
まだ暑さに体が慣れていない場合や、デスクワークが中心であまり体を動さない場合、日中の活動時間に溜まった熱がうまく発散できないことも。
冷房が効いた室内と、気温が高い室外を行き来する機会が多い時も、温度差で体調を崩しやすいので要注意。
湿度が高い環境では汗をかいても蒸発しにくいので、急にたくさん汗をかこうとしないで、少しずつ汗をかけるように体を慣らしていきましょう。
どうしても運動する時間がない場合は、
- 電車通勤なら、席に座らずに立ったままにする
- いつもより早く歩いてみる
- 床から物を拾う際にゆっくりかがみ、立ち上がる
- 椅子の背に掴まってスクワットする
- 湯船にぬるめのお湯をはって入浴する
など、日常生活の中でできることを試してみてください。
まだ我慢できそう、と思いがち
数値で温度と湿度を見るまでは、耐えられなくはないな、と考えていました。睡眠中は暑くてもすぐに対応できず、体調を崩してしまいやすい時間帯。
夏本番に向けて、皆さまもぜひ温度・湿度計を置いて、寝室環境を確かめてみてください。
<参考文献>
日本生気象学会 「日常生活における熱中症予防指針 Ver.4」 2022年5月25日
http://seikishou.jp/committee/
総務省 消防庁 「令和4年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/r4/heatstroke_geppou_202205-09.pdf
筆者プロフィール
木野 いく