睡眠と子育て

子どもの熱中症はどんなときに起こる?眠るときも要注意!予防法と対応 Vol.13

梅雨が明けると夏本番。子どもにとって楽しい季節が到来しますね。それと同時に夏ならではの健康管理にも注意が必要になります。

そのひとつが「熱中症」です。毎年6月下旬くらいから熱中症による救急車の出動が増えていて、夏本番になる前から熱中症対策が啓発されています。

日本国内では年々最高気温が高くなり、湿度も上がっていて、高い気温と湿度は熱中症になりやすく、特に小さな子どもは熱に対する体温調節がまだ未発達で、地面からの照り返しも受けやすく熱中症のリスクが高いと言われています。

また、気温が下がらない夜も多くなり、眠りながらも熱中症を起こすことがあります。

子どもの「熱中症」について、なりやすい場所、兆候、対処法、予防法、眠るときの対策など、詳しくお話しましょう。

熱中症とは?

「熱中症」とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節 機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。
屋外だけでなく室内で何もしていないときでも発症し、 救急搬送されたり、場合によっては死亡することもあります。

参照:熱中症予防のための情報・資料サイト/厚生労働省

室外が高温の時は、熱放散が小さくなり、主に汗の蒸発による気化熱が体温を下げる働きをしています。
汗をかくと水分や塩分が体外に出てしまうために、体内の水分・塩分が不足し、血液の流れが悪くなりますが、そうなる前に水分や塩分の補給をしなければ体内に熱がとどまり、熱中症をおこします。

子どもの熱中症は、乳幼児は自宅と屋外での発生が多く、小学生以上になると学校での運動中に多く発生しています。

特に幼児は、衣類の調節や水分補給、涼しい場所への移動など、自ら行うことができず言葉でも表現しないため、大人が気づかないうちに熱中症をおこしていることがあります。

子どもが熱中症になりやすい理由

  • 体温調節機能が未発達である
  • 熱が体にこもりやすい
  • 汗をかく機能がまだ未熟
  • 気温が高くなるにつれ体内の熱を逃すことができなくなる
  • 身長が低いので地面の照り返しが大きく、大人より3度以上高温になる

などがあげられます。

子どもの熱中症の兆候

子どもは「具合がよくない」ということを自覚しにくく、もちろん言葉で具体的な体調を伝えることがむずかしいものです。
熱中症の症状は、保護者や周囲の大人が察して判断しなければなりません。
例えば以下のような状況の場合は、熱中症の疑いがあります。

  • 顔が赤く、ひどく汗をかいている
  • 体が熱い
  • 汗をかいておらず、顔色が悪い
  • 嘔吐している
  • 痛みを訴える(おなか・頭・胸など、どこが痛いかははっきり言えないことも)
  • 顔が赤く意識がない
  • 泣き止まない
  • おしっこが出ない
  • ふらふらしている

このような症状がある場合は、速やかに手当をします。
もしも重症か判断できない場合は病院へ連れて行ったり、救急車の要請をしたりと対策をしましょう。
救急車の要請に迷ったときは、総務省消防庁「救急安心センター事業」【♯7119】へ電話をし、指示を仰ぎましょう。

参照:上手な医療のかかりかた.jp/厚生労働省

眠っていても「熱中症」に! お昼寝や車中・暑い夜に眠るときの注意点

子どもの寝室にも室温・湿度計を置き、室内の環境をよく把握しましょう。
扇風機や冷風機、エアコンをかけて温度調節をする場合は、低体温や乾燥を防ぐため子どもの体から離して使います。

エアコンのタイマーをかけて夜中に切れるようにしてしまうと、そこからまた汗をかき、熱がこもるので、つけっぱなしで構いません。

気温が夜になっても25度以上ある場合は、窓を開け、扇風機をつけていても熱中症になる可能性があります。また、寝室の温度管理にも十分気を付けましょう。

室温を28度以下にできる場合は、タオルケットなどをかけた方が良いかもしれません。

眠る前には水分を与え、寝ている間汗をたくさんかいているときは、100㏄から200㏄程度の水分を飲ませましょう。その際は虫歯の危険性が高まるので、スポーツドリンクなどの甘いものではなく、水やお茶で構いません。

日中のお昼寝の場合も、同じです。

また、車の中で眠ってしまった場合は、お日様の入る窓ガラスにバスタオルをかけるなど子どもに直接日光が当たらないようにします。
衣類を脱がせること、汗をかいているようなら水分をこまめに与えること、エアコンで車内温度を下げることが必要です。
また、眠っているからといってエアコンをかけたままであっても車内に子どもだけを置いて買物など車から離れると事故につながります。絶対にやめましょう。

子どもが「熱中症」になりやすいとき

子どもはどのような環境や状態のとき、熱中症になりやすいのでしょうか。

  • 気温と湿度が高く、風のない室外で過ごす
  • 暑い日にエアコンのない室内で過ごす
  • 風通しの良くない素材や、汗の乾きが良くない素材の衣類を着て暑い戸外で過ごす
  • こまめな水分補給をせず過ごす
  • 寝不足
  • 食事をしていない

また、小さな子どもの熱中症については、環境省の「熱中症予防サイト」にて、熱性けいれんについて触れています。

小さい子どもが自宅で熱を出しひきつけを起こすのは「熱性けいれん」ですが、熱中症でも「熱けいれん」という診断名があります。
これはてんかん等の全身のけいれん発作ではなく、暑さと疲労と脱水が重なって筋肉の一部(ふくらはぎ等)が「こむら返り」を起こすことを指します。また「失神」とは、突然意識を失ってバタンと倒れることですが、「熱失神」は、暑さのせいで一瞬の「立ちくらみ」が起きることを指します。どちらも熱中症の初期のサインとして重要です。これらが起こったら、すぐに涼しい場所で休み、冷たい水分やスポーツドリンクを摂りましょう。

出典:「熱中症環境保健マニュアル 2022」熱中症予防情報サイト/環境省

高温多湿で日差しの強い日の戸外はもちろん、室内でも湿度と室温・風のない環境にいると熱中症を起こしやすくなります。
夏のお出かけの際は、大人の感じ方とは違うことを踏まえて十分に子どもの様子を観察しましょう。

十分に注意していても、熱中症になってしまうこともあります。そんなときはどのように対処したらよいのでしょうか。

「熱中症」かな? と思ったらすぐにすべきこと

子どもの様子に「熱中症」の疑いがある場合は、どのように対処をしたら良いのでしょうか。

  1. 意識がはっきりしている場合は、涼しい場所へ移動し寝かせたり、スポーツドリンクなど塩分と水分が両方接種できるものを与えましょう。
  2. 衣類のボタンやファスナーをゆるめたり、靴を脱がせます。
  3. わきの下や首、内ももの付け根部分を氷や保冷剤、冷たいペットボトルなどで冷やします。
  4. 嘔吐する場合もあり、嘔吐物がのどに詰まって窒息することもあり得ますので、子どもから目を離さず見守ります。
  5. 呼びかけても返事がない、目がうつろなど、意識が混濁している場合は、病院へ行くか救急車を呼びます。

熱中症かわからない、眠ったのか意識混濁かわからない、救急車を呼ぶほどなのか判断がつかない場合は、先ほどご紹介した総務省消防庁救急安心センター事業【♯7119】へ電話をし、指示を仰ぎましょう。
救急安心センター事業を行っていない自治体の場合は、【119番】へ電話をし相談しましょう。

のどが乾いてからでは遅い水分補給「熱中症」の予防策は?

熱中症にならないために、予防策としてできることはたくさんありますが、暑い日に無理をしてお出かけをしないこと、エアコンを上手に使うことなどがあります。
もう少し具体的にご紹介します。

  • 天気予報などで熱中症アラート・気温・湿度をチェックする習慣をつける
  • エアコンや冷風機・扇風機などを使う、室内の熱さを我慢しすぎない
  • 外出するときは通気性のよい服装をし、帽子をかぶる
  • 子どもがのどの渇きを訴えてこなくても、こまめに水分を与える(一口でもOK)
  • 夏は体力を消耗しやすいもの。食事や睡眠をしっかりとる。
  • 車中でエアコンをかけていても子どもだけを放置しない。降ろし忘れにも注意。

エアコンは電気代を気にしてかけないようにしているご家庭が多いでしょう。つけっぱなしではなくても、室温が上がってきたと感じたときは一時的にスイッチを入れる、設定温度を変えるなど、対策をしながら室内での熱中症を予防しましょう。

まとめ

子どもの熱中症に対する基礎的な知識と、予防策・対処法をお話しました。戸外だけではなく室内でも起こる熱中症。年々猛暑日が続く日が増えています。
普段の生活では子どもの様子をこまめに観察すること、体調を整え健康に留意することが大切です。

親子で元気に楽しい夏を過ごしましょう。

筆者プロフィール

炭本 まみ

北海道生まれ北海道育ち。保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。保育士資格・幼稚園教諭免許・発達障害コミュニケーション指導者資格を保有。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。未だに子育てに行き詰ることはあるものの、子育て記事を執筆しながら、自分自身の子育ても振り返る日々。趣味はキャンプと旅行とカメラ。
北海道生まれ北海道育ち。保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。保育士資格・幼稚園教諭免許・発達障害コミュニケーション指導者資格を保有。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。未だに子育てに行き詰ることはあるものの、子育て記事を執筆しながら、自分自身の子育ても振り返る日々。趣味はキャンプと旅行とカメラ。

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